シャシャも負けまいと代替水源評価マップ完成

 今日は1日かけて、シャシャ郡の代替水源評価マップを完成させる予定です。すでに先週、深井戸のマップは完成したので、あとはPSF、DWそしてGSFの適性評価マップを仕上げる予定です。シャシャはデータ数が多いので作業に時間がかかるため、早めにジェソールを出たのですが、いざシャシャ事務所に到着すると、DPHEのエンジニアもメカニックもいません。

 実は昨日までシャシャでは、4日間にわたるアニメータートレーニングが行われており、4人のメカニックたちは真面目に全日程出席していたとのことです。そのため、彼らが通常やらなくてはいけない政府の仕事(深井戸掘削の管理)が山積みになってしまい、今日は全員現場で大忙しというわけです。

0606081

<これが噂のメカニック分布図(シャシャ版)>

 明日以降の日程を考えると、どうしても今日中に地図を完成させなくてはなりません。残念ではありますが、今日はメカニック抜きで、サイトエンジニアたちに地図を完成させてもらうことにしました。ここに到達するまでのデータ収集、解析作業には、いつもメカニックたちは参加してくれていたので、とりあえずいいことにしましょう。でも、今日が一番おもしろい作業なのに・・・
 その後、地図と格闘すること数時間。3時過ぎにユニオンでの会議から帰ってきたサブアシスタントエンジニアに、作業内容と評価マップの意味を説明しました。

0606082

<説明を聞くDPHEエンジニアの横で、もくもくと作業をするJAMPのサイトエンジニア>

 そして夕方6時近くになって、ようやく今日の目標とするすべての地図が完成しました。結論として、シャシャでは深井戸とPSFの建設にはかなりの地域でいい条件を備えていますが、ダグウェル建設には厳しい条件の場所が多いようです。今後はさらに詳しい調査を実施して、代替水源の適性を判断 していくことになります。

 今日は週末なので、郡事務所のスタッフたちはみな実家の家族のもとに帰って行きます。作業を完了させたサイトエンジニアたちも、晴れやかな表情でバスのチケット売り場へと向かっていきました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

バングラにだって、露頭はあるのさ

 PSFやダグウェルの適性評価の参考にするため、表層の地質状況を観察しようと、チョウガッチャの砂取り場に出かけてみた。とは言っても、ここはデルタの国。見渡す限り、どこまでも平野が続いている。あまり期待はせずに車を進めていくと・・・
 おおっと!そこには広大な砂取り用の穴と、その側壁に連なる崖が延々と続いていた。まるで房総半島で下総層群(マニアックですみません)の地層を調べているかのような、錯覚におちいる。表層1mぐらいはシルト層。その下には極細粒から細粒砂が確認できる。しかも、きれいなクロスラミナ(またもやマニアック)まではっきりと確認できる。
 思わず、地質屋の血が騒いでしまった1日であった。

0606061

<眼前に横たわる“大露頭”>

0606062

<惚れ惚れするようなクロスラミナを含む細粒砂>

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ボーリング調査、チョウガッチャ郡で順調に進行中

 5月14日のトレーニングを経て、チョウガッチャではテストボーリングが順調に進行しています。現地の簡易井戸掘り技術を利用して深さ150フィートのボーリングを実施し、サイトエンジニアとDPHEメカニックが協力して、地質試料採取と地質記載を行います。「これは細粒砂だ。いや極細粒砂だ。色は暗灰色かな。これなら灰色じゃないか。」などと意見を交わしながら、地質柱状図を完成させていきます。細かい地質記載をするのは彼らにとって初めてのことで、最初は少し戸惑っていたものの、今ではけっこう楽しそうに調査をしています。

<テストボーリング風景>「0605181.AVI」をダウンロード

上をクリックするとテストボーリングの様子が動画で見られます。(578KB)

 こうして調べた結果は、主に浅層の地質状況を知るために利用され、どの地域がダグウェル(大口径手掘り井戸)やPSF(池水利用)に適しているかの判断材料となります。今週1週間で9ヶ所のテストボーリングが終了しましたが、いくつかの地点ではダグウェルもPSFも建設が難しい状況にあることがわかりました。今後みんなで協議しながら、もっとも利用可能性の高い代替水源を提案して、住民らが代替水源建設の申請をする判断材料に活用してもらいます。

0605182

<写真:熱心に地質試料を観察するサイトエンジニアとメカニック>

 ところで、チョウガッチャで調査が順調に進められているのは、DPHEサブアシスタントエンジニアのプロジェクトに対する理解と協力があるからです。エンジニアは現在ケガで自宅療養中なのですが、今日は無理をして郡DPHE事務所までやってきて、彼の部下(メカニックなど)たちにJAMPへの協力を強く指示してくれました。エンジニアは、「このヒ素対策プロジェクトはJICAのプロジェクトではなく、私たちDPHEのプロジェクトだ。いや、私のプロジェクトだ。プロジェクトに必要なスタッフ(メカニック)を準備するのは当たり前のことであり、それは私の責務だ。」と、言ってくれました。ここ数日、暑さでだいぶ疲れがたまってきていましたが、そんな疲れを忘れさせてくれる嬉しい一言でした。

0605183

<写真:今週の成果(ボーリング柱状図)>

 エンジニアはまだしばらく自宅療養が必要ですが、今日の彼のパフォーマンスにより、メカニックたちの士気は一段と上がったものと感じました。今週はテストボーリングの成果が得られただけでなく、カウンターパートからの強い協力体制を確認することができたことが、大きな収穫です。エアコンが直ったけれど、外気温(37℃ぐらい)が高すぎてエアコンの利きが悪い車に揺られながら、今日も心地よい疲労感に包まれてジェソールへと帰りました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

国境調査隊 Mission Complete

われわれ国境調査隊の今日の任務は、きわめて重要である。インド・西ベンガル州との国境付近にあるパイプライン給水用の池(バオル)が塩水化し、住民の飲用に支障をきたしているという。実はここだけの話であるが、今回のバオル塩水化問題はインド政府側の策略ではないかとの疑惑が、ある秘密情報筋から届けられた。

ここ数年でヒ素汚染対策が急速に進展しつつあるバングラデシュと比較して、同じ地下水ヒ素汚染問題を抱えるインドでは、最近対策活動が暗礁に乗り上げているとの話を聞いたことがある。国家の威信が揺らぐことを懸念したインド政府が差し向けた、きわめて悪質な陰謀である可能性が考えられる。そのような背景の中、現地調査を強行することには大きな危険が伴う。しかし、住民が一日でも早く安全な水を手にすることができるように、われわれは危険を顧みず、国境へと歩を進めていったのである。

0605081<写真1>塩加減をみる末永隊員、後ろは魚類逃亡防止用の柵

バオルは国境線上を流れる幅30mほどの小さな川と水路でつながっており、バオルの最上流部と川との距離はわずか300mほどである。川の方向を見渡すと、インドの大地が見える。インドの水田が広がり、インドの木が茂り、インドの農民が汗を流し、インドの牛が草を食む。バングラデシュ側の風景とまったく同じである。ひとつ違うのは、インド側には国境を監視する巨大な櫓が聳え立っている。お金のないバングラデシュには、そのようなものはない。

国境に近づくにつれて、自ずと隊員たちの緊張感は高まる。同行したDPHEのエンジニアも、私に「写真は撮るな。あまり長居はするな。余計なことはしゃべるな。」といつもと違う雰囲気を漂わせている。意を決し、シャミム隊長が塩分濃度計を片手に、川の中を進んでいく。国境線に近づくほど塩分濃度は急激な上昇を示し、疑惑はさらに高まった。シャミム隊長は、パルビン助手にラボラトリーでの分析用試料の採取を命じる。調査隊の緊張をよそに、インドの農民とバングラデシュの漁民が、川を挟んで楽しそうに言葉を交わしている。同じベンガル語を公用語とする彼らにとって、国境などないに等しい。一瞬気持ちが和らぐが、バングラデシュの農民がインド側のスパイである可能性もある。気を許してはいけない。

0605082<写真2>水路で塩分濃度を調べるシャミム隊長、向こう岸には魚釣りのおじさん

命からがら国境地帯から帰還したわれわれは、今日の調査結果について激しい議論を交わした。結論として、バオルの塩水化現象は、海からの塩水遡上による自然現象である可能性がほぼ間違いないものと判断された。今年の乾季は例年にない水位低下(地下水も川も池も)を示しており、そのため塩水がより上流まで到達してしまったらしい。今後の対策として、乾季に塩水が流入しないように、バオル最上流部にバリアを設置することなどが提案された。

おそらく川向こうのインドでも、同様の塩水化問題が発生しているに違いない。おいしい水を飲むことのできない住民に対して、インド政府がどのような対策を講じてくれているのか心配になった。しかし、大国インドはあくまで秘密のベールの中にあり、われわれには超えられない高い国境の壁が立ちはだかっている。

今日のわれわれの調査により、インド政府の国家的策略の可能性は否定されたが、今後もいつなんどき緊急事態が発生するかわからない。住民が安全な水を手にすることができる日まで、われわれの任務が終わることはない。

みっしょん、こんぷりぃと!

追伸:塩水化した水は飲用には適さないが、野菜料理に使用するとちょうどいい塩加減になるらしい。

0605083<写真3>

分析用試料の採取

| | コメント (0) | トラックバック (0)

チョウガッチャDPHEで独自の代替水源適性調査

チョウガッチャDPHEでは、今年度(残り2ヶ月)予算で26ヶ所のダグウェル設置を計画しているとのことです。今日はDPHEが独自でテストボーリングを行うというので、その現場の見学に同行させてもらいました。

0605041

<キャプション:井戸掘り職人を指導するDPHEエンジニア(右端)>

今日の調査では、現地の井戸掘り技術を利用した簡易掘削法で3フィートごとに地質試料を採取し、深さ45フィートまでの地質状況を確認しました。今後のJAMPの水文地質調査でも、テストボーリングのトレーニングと調査を計画していますが、今日のDPHEの調査はかなりラフな内容でした。エンジニアは地質資料に直接触ることなく、外観だけで簡単な記載をしてしまいます。メカニックたちはエンジニアを補佐するだけで、地層の見方をしっかりと理解しているようには見えませんでした。

0605042<現地の簡易掘削法で試料を採取>

しかし、DPHEが代替水源建設のために事前調査をしたなどという話は今まで聞いたことがなかったので、事前調査の必要性を彼らが認めているということは大変重要なことです。おそらく、サブアシスタントエンジニアの独自の判断によるものと思われますが、AANの開パトの成果やJAMPの活動が彼らに対するいい刺激になっているのだと実感しました。

0605043<ココナッツの殻に保管された地質試料>

今日の調査では、地表から45フィートの深度まですべて粘土層であったため、残念ながらダグウェルには適さない地域だと判断されました。調査をせずにダグウェルを設置していたら、乾季には水不足ですぐに利用できなくなっていたことでしょう。それでは他の水源は可能かと考えてみると、周囲には水の枯れていない池がたくさん見られ、PSFには適している可能性があります。表層の粘土層が厚いということは、池の水が簡単には地下に漏れていかないということです。

今日はDPHEの意識変革を知ることができたとともに、JAMPの代替水源対策にとっても貴重な情報を得ることができました。いつものようにエアコンの効かない車に揺られながら、心地よい疲労感を感じながらジェソールの帰途に着きました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

チョウガッチャの深井戸ヒ素濃度マップ完成

 DPHEのメカニックとJAMPスタッフのサイトエンジニアが中心となって、既存代替水源調査のひとつとして深井戸調査(GPS測量、フィールドキットによるヒ素濃度測定)が約2ヶ月かけて実施されてきました。先週から地図上への井戸位置のプロットを開始し、今日の作業(ヒ素濃度の記入)でチョウガッチャ地域の深井戸ヒ素濃度マップが完成しました。チョウガッチャではヒ素汚染対策用の深井戸にさえも、何ヶ所かで基準値を超えるヒ素が確認されており、代替水源チームにとって今後の大きな課題です。

30_apr_20064<キャプション:DPHEメカニックと現地スタッフの共同作業で、深井戸汚染マップを作成>

 この地図をもとに、これから現地調査でのサンプリング地点を選定し、数地点を対象にラボラトリーでのクロスチェックをする予定です。今後現地調査の結果を加味して、最終的に深井戸適正評価マップを作成します。シャシャ地域は深井戸の数が多いので、地図作成作業と平行しながら、現在も既存代替水源調査が実施されています。

30_apr_20065<キャプション:ひとつひとつ、ていねいにプロット>

 井戸位置のプロットやヒ素濃度の記入には、パソコンを利用すれば効率的で、それは日本人専門家にとっては簡単な作業です。しかし、DPHE職員やJAMP現地スタッフにとっては、今すぐにパソコンソフトを使いこなすことは決して簡単なことではありません。現地でしっかりとしたデータが取れていれば、文明の利器を使わなくとも、立派な成果品を作り上げることはできます。鉛筆と消しゴムを使って何度も地図を描き直すことで、個々のデータが示す意味や完成した地図の重要性をしっかりと理解してくれたのではないかと期待しています。

30_apr_20066<キャプション:おっと、ここは自分の担当地区なのに、基準値を超える地点が・・・>

 今日は一段と気温が上昇したようで、まさに夏真っ盛りのバングラデシュです。メカニックとサイトエンジニアの汗と手垢でまみれた地図を片手に、エアコンの調子が悪い車に揺られながら、私も汗を流しつつジェソールの帰路につきました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

シャシャDPHEで水文地質調査とトレーニング

 昨日ジェソールで行ったトレーニング概論編に引き続き、いよいよウポジラDPHEのメカニックたちを対象にしたトレーニングが今日から始まる。JAMPチーム(sue、麻子、純子、シャミム、アニータ)がDPHEシャシャ事務所に到着したのが、915分。サブアシスタントエンジニアは、すでに玄関の前で待っていてくれる。普段は水文地質調査などまったく関心を示さない土建屋のオヤジのようなエンジニアであるが、今回は気合が入っており、われわれにも協力的である。

 いざプロジェクターを準備しようとしたら、電気が来ていない。ちょっと困ったような顔をしていると、「こういうことも想定して、大きな紙に印刷しておいて、紙芝居の準備をしておくんですよ。」と、麻子に怒られる。彼女は、朝方は機嫌が悪い。下手に逆らうと後が大変なので、おとなしくしていよう。

7_feb_20061  10時過ぎに4人のメカニックたちが集まり、トレーニングが始まる。メカニックたちはすでに高齢の人が多く(見た目だけ?)、高い教育は受けていないので水文地質の知識はほとんど持っていないらしい。説明用の資料は、日本で市民グループの人たちに話をするとき使用したものを参考にして作成した。依然として電気は来ていないので、ノートパソコンの画面を直接見てもらいながら、説明を始める。英語での説明の後、シャミムがベンガル語で解説してくれる。シャミムは私が話す内容をすでに理解してくれているので、流暢に訳しながら説明してくれる。おそらくは、私の説明が十分でないところも、補足して解説してくれているのではないだろうか。メカニックから質問があっても、半分以上は直接回答してくれている。バングラデシュ人スタッフが中心となってトレーニングを実施できる日も遠くないであろうことを実感し、頼もしさをおぼえる。

開始早々、UNOが挨拶にやってきてくれた。忙しい仕事の合間をぬって来てくれたようで、ありがたいことである。このプロジェクトが、地元から期待されていることを痛感する。しばらくしてUNOは自分の事務所に帰っていったが、彼が来てくれたことでメカニックたちにも程よい緊張感が伝わり、エンジニアやメカニックたちは集中して話を聞いてくれる。途中、シャミムが私の名前を紹介し、「日本からやって来た水文地質の専門家ですから、ちゃんと覚えておいてください。」というと、みな一斉に紙切れにメモを取り始める(そんなものはメモしなくてもいいから、もっと大事なことをメモしてくれ・・・)。普段英語のスペルなど書くことの少ない彼らにとっては結構大変なことで、一文字ずつ確認しながら一生懸命記入している。その姿がかわいいと言いながら、麻子が微笑んでいる。もう、機嫌は直ったようだ。

7_feb_20062  バングラデシュの地下水ヒ素汚染の特徴と水文地質の基礎的な話を私が話した後、代替水源の種類と特徴について麻子が説明する。代替水源建設、とりわけ深井戸の建設は彼らの得意とする分野なので、活発な質問や意見が飛び出す。代替水源建設の際には住民啓発が不可欠であることも彼らは指摘しており、今後のJAMPの活動が楽しみになってきた。

右写真:トレーニング風景>ジャパニ  アパ 強し

7_feb_20064

 トレーニングは午前中で終わり、昼食後にJAMPチームだけで、シャシャ北部の地形や池の状況などを観察してからジェソールへ帰ることにした。途中、ジッカルガッチャの狭い道を走っているとき、エンジントラブルで立ち往生している田舎バスに出くわした。乗客はみなあきらめて、次のバザールまで歩き始めている。道が狭いので、われわれの乗った車は先に進むことができない。どうしたものかと思案していたところ、純子がおもむろにバスに近づき、グイと一押し。さらに、グイ・・・・・・動いた。もう一押し。動く。

 バスはゆっくりと後方の駐車スペースまで移動し、JAMPカーは程なくして立ち往生したバスとすれ違うことができ、われわれは無事ジェソール事務所に帰還することができた。純子の活躍の間、道行くベンガル人たちは驚愕の思いとともに尊敬のまなざしを向けつつ、手伝うこともせずに、その勇姿を呆然と眺めていた。きっと日本人女性のたくましさと素晴らしさを、認識したに違いない。このJAMPも、現在多くの日本人女性スタッフに支えられ、運営されている。今後の行く末が、ますます楽しみなJAMPである。

<写真:バスを押す純子> あっ動いた!

7_feb_20065

| | コメント (0)